2019-01-01から1年間の記事一覧

十二月

落葉松散り積もりたる月明 落葉松の囲む屯田兵の父祖の家 サイロより落葉松林の續きけり 落葉松に仔牛が角を磨きいる 托鉢に紙幣が一枚暮れの街 散る紅葉夕配膳の音のして 早暁の鯖雲こちら泳ぎ来る 蹲に侘助立たす庭師かな 初詣つれは孫なり女坂 新春や齢の…

十一月

神の留守ピンと撥ねたり鹿威し 今着きし新車に塩盛る秋の昼 神の留守内緒の酒蔵栓を抜く 菊月や恋の恨みを玉三郎 石橋の囃子の張れる神無月 勧進帳華にて終わる秋の夜 集合の雀ら一斉発つ夕べ 鵯のぶつかりざまに避けてゆく 競ふもの一つも無くて小春かな 赤…

十月

天窓は雲のスクリーン秋の昏 錦秋の夕凪空のまばたく間 爽やかに詰襟制服男子(おのこ)なり 早朝の澄む秋を吸ふ日課なり 菊月や背高野菊誇らしき 山法師白雲の如暮れ残る 山法師果実に大粒種一つ 早暁の百舌は狩猟の早立す かまきりの鎌の重たき錆いたる 香保…

八、九月

祭花火一万発宇宙軍来と幼言う 触れる掌にはじけて応ふる鳳仙花 教へ子の先に逝きけり孟盆会 やわらかき風の一日九月かな 十六夜の月雲のベールを脱ぎ捨てて 中秋の一人は佳かり三連休 入道雲見事砕けて鰯雲 高く咲くコスモス風が好きで咲く 門火焚く吾家血…

七月

初ほととぎす老後の貯金少しせり 梅雨遅し息切れ気味に赤い月 蛙にもファッションありや青蛙 鉄砲山百合塀の上から通りみる 塀の上から鉄砲百合の標的の吾 子猫の狙うジャンプの高さ蜆蝶 明易し婆沙羅に降りて大烏 古里の夏草ばかり長い土手 香保里 暮やらぬ…

六月

鞦韆やいつの間にやら祖母であり 郭公やたっぷり二里は郵便夫 灯台に登り捉え下りる春の雲 糠床の茄子の紫夏の贅 気配して庭のベリーに四十雀 駒鳥のいつも二羽にて枸杞は実に 白々と總花天向く山法師 雲白くかぐや野の野薔薇 気まぐれな照る日曇る日雨の六…

五月

花吹雪呑み込んで鳴る喉佛 少年に春愁ありせば阿修羅像(興福寺) 驟雨止む蝶道黒揚羽(あげは)急がばや 窓ガラスにコツンと挨拶黒揚羽 満天星(どうだん)の花散って樹下星の屑 どうだんのまこと満天の星のごと 満緑や朝見の儀の華やかに 令和朔(ついたち)嫁の炊…

四月

桃の木を一本植えて終の庭 涅槃図涼し仰ぐ大寺大廂 この春や涅槃説く若者と目の合えりけり 吾 蝶となり一寸跳べぬ春の夢 やわらかき春野に「道産馬(どさんこ)」糞落とす 春愁や月と二人で家路かな 新学士加えて春より三世代 今宵満月玉三郎といふ椿 春潮にペン…

はじめに

俳句を詠むときは、場所・時間・人に、ぼんやりとした姿勢で向かうがいい、 それは、決して後ろ向きの姿勢ではない 〇美浜俳句愛好グループ 若干名 七年間継続を記念して、ブログにて発表する事にしました 主宰 香保里