二月
大風呂敷の癖のありけり風の春
慣習を少しはずれて寒送る
あさぼらけ四方に喇叭吹く水仙
物見高い狸が庭に春の宿(奥道後)
向こふ山の幽霊鉄塔や初霞
鱈にケチャップ苦労は隠居にもありて
日がな一日そこにありけり春の雲
墓山より見る甍の波の春気かな
「やぶ鶯」と 渾名で老母喜ばす
春一番屋根に吹かるる男ゐる
鶯摺餌予備のはこべら瓶にあり
あやふやな老いに死は一定と春の夢
香保里
暗やみにあたり憚り鬼は外
食べ乍ら豆を撒いてて幾つ目ぞ
節分豆一升まこと昭和はなつかしき
美沙
明日は咲くシクラメン鉢窓に置く
待ちて咲き三日の落花白椿
瀬戸の海光浴び断崖の梅数本
ひでみ
Patriots 二・二六に父想う
青斑