六月

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鳶色に深空の鳶の自信かな

コロナ災世のくさぐさや春も過ぐ

夏の月吾が添ふ影と腕を組み

花万朶うおんうおんと樹の寝息

明け易き春山に呼ぶやほととぎす

ほととぎす夜明けの街を袈裟がけに

夕ほととぎす尋ねしものはおらぬでか

萬緑をざぶりと洗い雨上がる

雲一つそれより白き山法師

花茎の天に捧ぐや山法師

香保里

 

すくすくと芽立ち早く追ひつかず

美沙

 

ことさらにコーヒーの香や夏の朝

ひでみ

 

惜春の書架に手を延べ哲学書

青斑