2020-06-01 六月 鳶色に深空の鳶の自信かな コロナ災世のくさぐさや春も過ぐ 夏の月吾が添ふ影と腕を組み 花万朶うおんうおんと樹の寝息 明け易き春山に呼ぶやほととぎす ほととぎす夜明けの街を袈裟がけに 夕ほととぎす尋ねしものはおらぬでか 萬緑をざぶりと洗い雨上がる 雲一つそれより白き山法師 花茎の天に捧ぐや山法師 香保里 すくすくと芽立ち早く追ひつかず 美沙 ことさらにコーヒーの香や夏の朝 ひでみ 惜春の書架に手を延べ哲学書 青斑