十月  (各季節から選句)

 

灯籠流し手を振っている向ふ岸

鰤起こし早よ舟戻せ雨も来る

秋は九十九里へ先ずは鎌倉の切り通し

奥道後庭の狸と秋惜しむ

早朝のいづこへ翔り黒揚羽

赤い実の灯りしままに山法師

ほととぎす人恋しくて軒の端

盆櫓女にもある喉佛

猛暑に夕月カントよかき氷はメロン蜜

盆の月お帰りなさい蛍よ

待ちて受く朝刊少年秋深し

香保里