2022-07-09 七月 コロナのため各季節から選句 山法師家路の先の灯かな 山法師頭上は火星の通り路 山法師すっくと立ちて佳人住む 山法師見如に散って地の明り お花見は亡父の匂いのステッキで 句友なるワシリー帰国梅雨の朝 香保里 梅雨の庭Rock ’n’ Rollと麦焼酎 皸でフラスコ洗う学徒かな 梅雨の闇桔梗が第六天魔王呑む 青斑
2021-10-09 十月 新型コロナのため一年ぶりの投句 各季節から選句 新米の握り飯なら塩結び 山法師赤い実を付け甘かりき 終わり梅雨したたか降って雨柱 人生にまさかの坂や熱中症 佗助の下向いて咲く愛らしさ 正午(ドン)と鳴ってにわかに増ゆる赤蜻蛉 山法師見事に散って地の明かり 残月や玉蜀黍畑に人がいて 横雲が横車押す暑さかな 風白し自由自在に思考して 十六夜や待つ人も無く早寝せり 秋雨来て雀早々裏山に 瓶落とし音を納めて山眠る 姉さんにさよならを云い墓の秋 袖に触る野のたをやめや吾亦紅 風涼し我れ六道をどのあたり 風に唄えば山雀が来て歌ふかな 蝶道を真っ直ぐ帰る冬の蝶 香保里 緊急事態ネオンに替わり六連星 「ヴァスカビルの犬」トラウマの寒夜 青斑
2020-10-10 十月 天高くたっぷり使って佳い日和 さざ波てさざなみて終日鰯雲 秋夜長ねむり薬は難解書 秋風を聞けば唱歌を歌いたく 雀いて鵯来て庭の修羅場かな 中秋の主治医の笑顔指でグー 四十雀朝のおしゃべり雌雄かな 山法師誰が簪に朱玉の実 山法師ひたすら眞紅の炎あげ 冬蝶の黄なを極めて地に伏せり 秋冷や僧帽筋にフード乗せ 掬はんとすれはするりと蜆蝶 香保里 熱汁や「今朝は寒いな」厨事 ひでみ 彼岸花いつもの畦に咲きほこる 秋祭コロナで自粛はさびしかり 美紗 吉法師稲わら腰に兵法書 墓参り二百十日の鰯雲 風邪っぴきに見舞いに来たる飛行蜘蛛 青斑
2020-09-19 九月 店先の提灯草に蛍来よ インターネット生の言葉は月に置く 生前の話などして盆の月 木犀の角を曲がれば吾が家の灯 茎高く花屋の奥の女郎花 藁ボッチもたれて話す距離が佳い 目の端に雲泳ぎいる彼岸入(鰯雲) 名月を二十畳間へといざなへり 大羽一枚拾ひ落葉の上に置く 女郎蜘蛛囲ことはり無しに庭で猟 香保里 吾れのボケ如何なものかと悩む朝 日々に倦み旅に出たきとコロナ鬱 淋しいな男二人の川キャンプ ひでみ マスクして検温コロナ残暑なり 秋涼しやっと一息深呼吸 墓参り銀杏黄葉踏みしめて 美紗 秋祭り担ぎ手の胸に竜頭あり 面河渓一枚羽織る夏の朝 梅津寺ストローハットと云う帽子 面々々日毎の破竹夏稽古 青斑
2020-07-11 八月 さてさてと豆蒔く頃や遠郭公 新芋の焼芋を買う日曜日 退職してとどの詰まりの句座なれや 山法師一片風と修行に出 新社員板に付きたる初蛙 明星にお供一星梅雨上がる 牧の柵人間(ひと)を見つめる仔馬かな かきつばた石の腰掛在原の中将 初蝉の朝は眞青な空一枚 自転車の少年洗ふや夏の雨足 香保里 挨拶は「今日は寒いな」寒い梅雨 ひでみ 雨に咲く濃紫陽花に気をもらふ 梅雨寒くコロナウイルス蔓延す ホホケキョと幼い声で競い啼く 美紗 梅雨に入る季狂い豪雨家流す 梅雨晴れの熟田津に立つペトリコール 青斑
2020-07-09 七月 動かぬ雲やはり動いて桜の秀 鏡中に卒寿なか半や花衣 出社して若衆となり四月かな あねいもうと下校待つ妹落葉松散る 点描の筆先溢るる落葉松芽 黒蝶のバサリと訪ふやブログ開く 梅雨の昼歯科にまさかの医療器具 釣り鮎呉れて串打傳授して去ねり 遅き陽や今日一日の礼を言う 浴衣着て若き背丈の立居かな 香保里 雨に咲く濃紫陽に気をもらふ 春寒しコロナウィルス蔓延す ホホケキョと幼い声で競い啼く 美沙 挨拶は「今日は寒いな」春寒し ひでみ コロナ禍の休場球児の目に涙 青斑
2020-06-01 六月 鳶色に深空の鳶の自信かな コロナ災世のくさぐさや春も過ぐ 夏の月吾が添ふ影と腕を組み 花万朶うおんうおんと樹の寝息 明け易き春山に呼ぶやほととぎす ほととぎす夜明けの街を袈裟がけに 夕ほととぎす尋ねしものはおらぬでか 萬緑をざぶりと洗い雨上がる 雲一つそれより白き山法師 花茎の天に捧ぐや山法師 香保里 すくすくと芽立ち早く追ひつかず 美沙 ことさらにコーヒーの香や夏の朝 ひでみ 惜春の書架に手を延べ哲学書 青斑